インボイス制度による影響

こんにちは。東京都調布市の税理士岩渕成浩です。本日はインボイス制度開始後の影響についてお伝えしたいと思います。あと1年ほどで制度開始ですので準備を進めていきましょう。

現在課税事業者(消費税を納めている事業者)の場合

あなたが売手の場合

現在課税事業者である場合、適格請求書等保存方式(以下インボイス制度と記載します。)開始後にインボイスを発行しようと考えている場合、適格請求書発行事業者になるために登録申請が必要です。登録を行いとインボイスを発行出来なくなりますので登録を検討しましょう。課税事業者に関しては登録の有無に関係なく今まで通り消費税の申告・納税義務はあります。

あなたが買手の場合

現在課税事業者である場合、消費税の納税義務はあります。先日の記事でお伝えしたように仕入税額控除についてインボイスの保存が原則必要になります。つまり適格請求書発行事業者からインボイス受け取って始めて仕入税額控除が出来るようになります。よって仕入先などが適格請求書発行事業者かどうか確認する必要がありますし、適格請求書発行事業者ではない免税事業者との取引が増えると改正後は自社の負担が増えることが想定されます。(購入金額が現在のままですと仕入先に支払う金額は一緒ですが、仕入税額控除を受けられないため消費税の納税額が増加することになります。)

下記に経費が免税事業者のみだった場合の計算イメージを作成しました。(仕入・経費がすべて免税事業者からとした場合)

売上が変わらない場合、経費が税抜50のところインボイス制度後は免税事業者からの仕入等について仕入税額控除がなくなると税込55がそのまま経費になります。よって利益は5減ります。また、現在は経費の消費税5が仕入税額控除出来ているので納付する消費税が5となりますが、改正後は仕入税額控除が出来なくなるので10納付することになります。利益は少なくなり、納税が増えるという状況が出てきます。

免税事業者からの仕入などについては経過措置があります。

免税事業者からの仕入れについてすぐに仕入税額控除が出来なくなる訳ではなく、一定の事項が記載された帳簿及び請求書等を保存していれば、一部ですが、仕入税額控除が可能となっています。ただし経過措置期間終了後は仕入税額控除が出来なくなります。具体的には開始後3年間は80%控除、その後3年間は50%控除となります。具体的には仕入税額控除が10だった場合、開始後3年間は8、その後3年間は5が仕入税額控除となります。

現在免税事業者の場合

上記課税事業者が買手の場合に記載しましたが、免税事業者からの購入は仕入税額控除が出来なくなります。

現在免税事業者の方は取引先からインボイスの発行を依頼された場合インボイスは発行出来ません。インボイス発行は適格請求書発行時業者に登録する必要があるためです。適格請求書発行事業者になるためには課税事業者になる必要があります。

課税事業者になると消費税の納税義務が発生するため現在消費税を納めていなくても消費税を納めなくてはならなくなります。よって売上金額が変わらなければ消費税納税分手残りが減ることになります。                 

免税事業者の方が消費税相当額を値引きで対応する場合が一番手残りが少なくなってしまいます。課税事業者になったから売上に係る消費税がすべてなくなるわけではありません。手残りは減ってしまいますが、適格請求書発行事業者になりインボイスを発行出来ないと取引から除外されてしまう可能性がありますので登録するかどうか検討する必要があります。

そのほか会社業務への影響

1 会計ソフトへの入力

 現在10%、軽減税率8%、8%と消費税の入力をしていると思いますが、インボイス制度後はこの他適格請求書発行事業者以外からの仕入として上記と区分して入力していかなければならなくなります。(仕入税額控除の金額が変わっていくため。)

2 インボイスの内容に間違いがあった場合

 インボイスに間違いがあった場合は正しいインボイスを再発行してもらう必要があります。これは手間ですね。

3 適格請求書発行事業者かどうかの確認

 取引先が適格請求書発行事業者かどうかの確認作業も必要になってきます。適格請求書発行事業者から受けてるインボイスに番号が記載されているか?適格請求書発行事業者以外の事業でも紛らわしい番号を載せてくるかもしれませんので確認は怠らずにしないといけません。

4 経費精算

 インボイス制度後はインボイスがないと仕入税額控除が原則出来なくなります。従業員が例えば個人タクシーの利用、フリーランスへの外注、個人商店からの仕入、個人商店でお土産の購入などインボイスが発行出来る事業者かどうか確認してから注文、購入するなどどのようにしていくかルール作りが必要になるでしょう。(そんなの気にしないというスタンスでも良いかもしれませんが、手残りのキャッシュはその分少なくなっています。)

最後に

ここまででインボイス制度の影響をお伝えしました。免税事業者だけでなく、課税事業者の方にも影響が出てきますのでほぼほとんどの事業者に影響がある制度です。適格請求書発行事業者への登録もまだまだ進んでいない状況の洋ですし、制度自体を知らない事業者様もたくさんいる状況です。テレビで取り上げられて始めて大混乱するような気がしますね。(インパクトは消費税が10%に上がった以上にあると個人的には思います。)

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